古材の森

町屋御膳
古材の森の外観

福岡県糸島市にある「古材の森」に来ました。
古材の森が立地する前原は、かつて唐津街道の宿場町として栄えた場所で、糸島半島にある農村や漁村など各所から人や物が集まり、また様々な食材が揃った場所でもありました。
この歴史性を活かし「糸島でとれる食材を使った体に優しい料理」をコンセプトにした食事を、明治時代に建てられた歴史ある古民家で食べられるということで行ってみました。
完全予約制の人気のお店なので、予約が取れただけで大満足(笑)

油機エンジニアリング株式会社が、豪商西原家の建物を動態保存し、次世代へ引き継ぐことを目的に「地域の歴史と文化の交差点」として、一部をカフェ&ランチとし、家屋も見学出来るようにしています。

ー歴史ー

江戸時代中期より、糸島地方で屈指の商家として栄えた西原家は、屋号を「綿屋」といい、天明年間(1781~1788)に志摩郡青木村(現在の福岡市西区青木)から唐津街道の宿場町であった筑前国志摩郡前原宿に出て商売を始めたと伝えられています。
最初は、小さな店だったようですが、櫨実や菜種等の取り扱いを始め、寛政年間(1789~1801)から、本格的に醸造業、質業、櫨実の集荷などに着手し、その後、貸付、酢醤油製造、呉服と商品流通の波を巧にとらえ事業を拡大しました。
福岡藩への財政支援にも積極的に応じ、嘉永五年(1852)凶作時の貧民救済によって「箱崎松原出」(福岡藩主の参勤を見送る名誉なこと)を仰せ付けられ、安政二年(1855)、早魃字の救援に対し「一代大庄屋格」を申し付けられ、その他、数度の「寸志金」差し出しにより、藩から褒賞を頂戴するなど、「豪商」「西に前原綿屋あり」と称されるまでに成長しました。
西原家には、主に藤三郎を名乗る「本家綿屋」、藤七を名乗る「別家板場」、藤次郎を名乗る「別家出店」の三家があり、現在活用している建物は、安政二年(1855)本家三代目の藤三郎が新しく呉服商を独立させた「出店」の建物で、明治三十四年(1901)に新築されたものです。
明治時代になると「出店」西原藤次郎は、呉服商を継続しながら、煙草販売、度量衡器販売、代弁業など商業活動を広げ、明治二十五年(1890)に「前原商業会」を発起し、同四十三年(1910)には「前原商工会」に発展させ初代会長となりました。
また、明治三十九年(1906)には、「板場」西原藤七らと共に「老松座」を建設して農閑期に興業を行うなど「篤志家」「名望家」として地域貢献に尽くしました。

古材の森のギャラリー
旧西原邸の見学エリア
古材の森にあるアンティークの家具

ー建築ー

現在残る建物は、安政二(1855)年に呉服業を独立させた分家「出店」西原家が明治34(1901)年に建築したものです。
旧唐津街道に北面して広大な屋敷を構え、西側に主屋、東側に練塀を巡らし表門を設けています。
主屋は木造二階建て、屋根は平入り入母屋桟瓦葺き。
一階は前土間形式の広大な土間と勘定場を備え、中居(店座敷)には神棚を祀り、勘定場上部に吹き抜けを設け、持送りで支えた手摺のついた漆塗りの欄干が、かつての繁栄を物語っています。
東側の座敷は、敷地間口が広いため、主屋の側面に庭園を設ける横座敷型をとっています。
表門より玄関、次、座敷が並び、畳床に長押を巡らし、違い棚、付書院、天袋、地袋、狆潜を設ける明治期の博多町家の特徴を備えています。
二階は、表側を板張りの納戸、裏側を畳敷きの居室とし、廻廊には滑車が設けられている事から、二階には荷物を吊り上げていた事が伺えます。
各部屋は、廻廊を囲むように一段上がって八畳が二間続き、六畳の小部屋が二部屋あります。
現在は、解体されてしまった建物に、郵便取り扱い業務を行っていた西店と呼ばれる建物や、茶室や三階建ての建物、そしていくつもの土蔵があったと伝えられていますが、現在では主屋が残るのみです。
しかし内部空間のすばらしさにより西原家の繁栄を偲ぶことができます。

時間が無くて見学出来なかったのが残念でした。
もっと調べて行けば良かったです😢

ランチは予約していた町屋御膳に地魚の刺身を追加オーダーしました。
お品書きの一品目が「歴史ある明治の空間」なのが洒落ています。

町屋御膳のお品書き

一品目の阿蘇と糸島の野菜サラダと玄界灘の魚の刺身です。

糸島豚の焼しゃぶ
季節野菜の炊き合わせ
柿の白和え
豆乳の葛寄せ 醤油麹
地魚の照り焼き
…とありましたが、少々メニューに変更があったようです。
めちゃくちゃ美味しかったので、全く気にはなりませんでしたが。

阿蘇と糸島の野菜サラダ
地魚の刺身
町屋御膳

デザートはケーキ3種の中から好きな物を…ということなので、3人いたので1つずついただいてシェアしました。
コーヒーカップが可愛くて…売ってはいたのですが、まだ旅の始まりなので断念しました。

ケーキ3種
コーヒーカップの表側
コーヒーカップの裏側

時間にたっぷり余裕を持って行くことをオススメします!


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