サント トメ教会(Iglesia de Santo Tomé)に来ました。
サント トメ教会は12世紀にアルフォンソ6世が建造した教会です。
荒廃していた教会をオルガス伯爵が私財を投じ14世紀に再建しました。
そのときに建築された、教会のシンボル「モサラベの塔」は現在トレドに残る最も素晴らしいムデハル様式といわれています。
エル・グレコ最高傑作のひとつである「オルガス伯の埋葬」は、この教会の教会司祭の依頼によって、1586年から1588年にかけて描かれました。
入口から入ってすぐにあるオルガス伯のお墓の上に飾られている絵は、縦4.8m、横3.6mとかなり大きく、天界と地上の2部構成になっています。
この絵の中に目線が合う人物が2人いて、それがグレコ自身と息子といわれています。
「オルガス伯の埋葬」は門外不出となっているのでこの教会に訪れない限り見ることができません。
魂の昇天(上部)
上部には、これからオルガス伯の魂を迎えようとするイエス・キリストと聖母マリアを中心に天上界の光景が描かれています。黄色い服を着て鍵を持った天国の番人のペテロの姿も見えます。また、ほぼ中央には天使に抱かれて、今まさに伯爵の魂が捧げられる場面も魅力的です。
肉体の埋葬(下部)
下部には埋葬を表現した現世が印象的に描かれています。トレドの守護者である聖アウグスティヌスと聖ステファノが店から降りてきたという伝説よりをモチーフに描かれています。埋葬されるオルガス伯を見守る人々はトレド実在の名士たちで、その肖像だといわれています。ひとりひとりの表情が印象的で、オルガス伯爵は信心深い篤志家で、正義感に満ちた騎士であったといわれる人柄が偲ばれます。
他にも、教会内には「微笑みの聖母」や、クラウディオ・ベゲ作の「銀の聖体顕示台」など、17世紀バロック様式の貴重な彫刻が収蔵されています。
残念ながら内部の撮影は禁止でした。
もし撮れたとしても「オルガス伯の埋葬」は大きすぎて、しかも人も多いので上から下まで納めるのは無理な状態でした。
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