ヴィースの巡礼教会

祭壇

ヴィースの巡礼教会に来ました。
1983年に世界文化遺産に登録された教会です。
涙を流す「鞭打たれるキリスト」の像で有名な教会です。

白銀の世界に建つ真っ白な教会…ため息が出ます。
「ヴィース教会」とは「草原の教会」という意味で緑に囲まれた場所に立っているのですが、写真を見比べると、雪の季節に来て良かったと個人的には思います。

ヴィースの巡礼教会

もっとため息が出たのは中に入ってからでした…
ロココ様式の内部の装飾はヨーロッパ随一と言われています。

保存状態の良いフレスコ画、スタッコ装飾、精密に描かれたトロンプルイユの天井画はお見事でした。

1732年、ヴィース教会に近いシュタインガーデンの修道院に「鞭打たれるキリスト」の像がもたらされました。
しかし、このキリスト像は血を流す姿があまりにリアルで悲惨だったため、嫌われて飾られることなく修道院の屋根裏に放置されたままになってしまいました。
それを見つけたマリア・ロリーという名の農婦が哀れに思ってこの像を譲り受け、熱心に祈りを捧げ続けました
すると、1738年6月14日、このキリストの像が涙を流し始めました。
教会ではこれを奇跡とは認定しなかったが、この噂は「ヴィースの涙の奇跡」として広まり、巡礼者が農家に集まるようになった。
1740年には牧草地の小さな礼拝堂に移したが、巡礼者は増える一方であった。
そこでシュタインガーデン修道院が先頭に立ち、一般からの浄財を募るなどして建設資金を捻出し、1746年から建造されたのがこの教会である。
1754年に献堂式が行われ、最終的に完成したのは1757年であった。
設計はドイツ・ロココの完成者として名高いドミニクス・ツィンマーマンで、それまでにも数多くの建築を手がけていたが、この教会には特別な愛情と情熱を傾け、完成後もこの教会から離れることを嫌い、すぐ近くに居を移し、亡くなるまでこの教会を見守り続けた。

ヴィースの巡礼教会の内陣

主祭壇です。

伝説の「鞭打たれるキリスト」の像が安置されています。
主祭壇は、弟ドミニクス・ツィンマーマンによる作品で、十字架にかけられたキリストの血を表す赤い柱と、神の恩寵を表す青い柱に囲まれています。

祭壇画はバルタザー・アウグスト・アルブレヒト作とされています。

祭壇上部には、犠牲と復活を象徴する子羊の像があります。

ヴィースの巡礼教会の主祭壇

内陣の天井のフレスコ画です。

こちらは宮廷画家の兄ヨハン・パブティスト・ツィンマーマンの作品です。
上昇する天使たちが神の御前にキリストを苦しめた、鞭打ちの柱、鞭、十字架と釘、槍と海綿、いばらの冠、ヴェロニカの聖骸布などを運び上げています。

ヴィースの巡礼教会の内陣の天井画

内陣の手前には左手に説教壇、右手に修道院長席がありました。
説教壇の下には、イルカに乗って海に出かけた少年とイルカの友情が題材となった天使の像もあります。
『少年がイルカに乗って海に出ましたが、嵐で命を落としてしまいます。少年を助けられなかったイルカは少年の死に責任を感じ、少年を岸まで運び、そのまま海には帰らず少年の横で死ぬことを選びました。』という内容のようです。

説教壇
修道院長席

こちらにもキリストの像がありました。
こちらを「鞭打たれるキリスト」の像だと思ってしまう人もいるようです。
実際、私も全く勉強していかなかったので勘違いしました。
たぶん同じツアーの人達、ほとんどがこちらだと思っていたのではないでしょうか。
*旅行のあとすぐに書いたブログは間違えて、これを「鞭打たれるキリスト」と書いており、まだ直していません(笑)

キリストの像

「天から降ってきた宝石」とも讃えられている身廊の天井画も、ヨハン・バプティスト・ツィンマーマンのフレスコ画です。
最後の審判の空席の玉座の上には、復活したキリストが虹の玉座に座って天使から十字架を受け取ろうとしています。
『キリストの再臨』を表しているようです。
キリストの上には永遠への扉(天国の扉)が続きます。

全部を1枚に収められないのが残念です😢
かと言って、あまりにも色々な場面が描かれているので、細かく撮るのも大変です。

ヴィースの巡礼教会の天井画

西側の入口の上、永遠への扉(天国の扉)の下には、天と地をつなぐパイプオルガンがありました。

最初のオルガンは、1757年にディルレヴァング出身のヨハン・ゲオルク・ヘルテリヒによって製作されました。
数世紀にわたり、このオルガンは多くの改修と変更を受けてきました。(1928年にはジーマン社、1959年にはゲルハルト・シュミット社など)
現在のヴィースのオルガンは、2009年と2010年にオーバーハルマースバッハ出身のクラウディウス・ヴィンターハルター社によって製作されました。
これにより、バロック様式のヘルテリヒ・オルガンの伝統的なモニュメントを一貫して維持しつつ、技術的に新しいオルガン技術を補完することに成功しました。
そのため、42のレジスターに2,892本のパイプのうち、475本は1757年にヘルテリヒ・オルガンが製造した当時のオリジナルのままです。

ヴィースの巡礼教会の天井画とパイプオルガン

左手、北の祭壇『貧しい魂のための信心会』の祭壇です。
祭壇画はヨハン・ゲオルク・ベルクミュラー作「罪の女がファリサイ人シモンの家でイエスの足に香油を塗る場面」です。
祭壇画の両脇には、エジプトの聖マリアと十字架の神秘家コルトナのマルガレタの小さな彫像が置かれています。

写真を撮り損ねましたが、この祭壇の左にはアウグスティヌスの彫像、右には教皇グレゴリウス一世の彫像がありました。

聖アウグスティヌス
北アフリカ、ヒッポの司教。
彼は聖アンブロシウスの説教によってキリスト教に目覚めました。
「神よ、我らの魂はあなたの 中に憩うまで、安らぐことがありません。」と有名な言葉を残し、具象化しています。
燃える心臓が目印です。

教皇グレゴリウス一世(聖グレゴリウス)
神の霊に満たされた彼の説教と著作を象徴しています。
肩の上の鳩が目印です。

ヴィースの巡礼教会身廊の北の祭壇

右手、南の祭壇です。
祭壇画はヨセフ・マーゲス作「ペトロがイエスを否認する場面」です。

ヴィースの巡礼教会身廊の南の祭壇

南の祭壇の左には聖アンブロシウスの彫像、右には聖ヒエロニムスの彫像がありました。

聖アンブロシウス
ミラノの司教。
かご型のミツバチの巣箱が彼の弁舌の才を彼の脇で証明しています。

聖ヒエロニムス
ヘブライ語の旧約聖書をラテン語に訳しました。
禁欲主義のヒエロニムスは髑髏を持っています。

ヴィースの巡礼教会の身廊南側

アウグスティヌス、教皇グレゴリウス一世、聖アンブロシウス、聖ヒエロニムスは四大教父と言われています。
四大教父と脇祭壇の彫像はアントン・シュトルムの作です。

身廊には8組の双柱があり、柱頭の上にはキリストが説いたといわれる8つの幸福が描かれています。
柱の下部はシンプルですが、上になるにつれ豪華になっていく変化が面白く、主頭の形と彩色いずれもしなやかで優美さも特徴的です。

ヴィースの巡礼教会 南側の天井
ヴィースの巡礼教会 北側の天井

入口に蝋燭がありました。
これはお持ち帰り用だそうなので、1€をお支払いして貰って来ました!

シュヴァーベン地方の詩人ペーター・デルフラーが、この教会を「ヴィースは、この苦難の世における小さな天国である」と表現したのも納得の、本当に美味しい教会でした。

持ち帰り用の蝋燭
ヴィースの巡礼教会の入口

入口には世界遺産に登録されたことを証明するプレートがありました。

世界遺産のプレート

教会の前にはレストラン「Gasthof Schweiger」もありました。
バイエルン料理が楽しめるようです。

Gasthof Schweiger

レストランの横の建物には十字架やロザリオなどが飾られていました。
お土産屋さんらしかったのですが、残念ながら営業していませんでした。
何か記念の物が欲しかったのですが…営業時間前だったようです。

ヴィースの巡礼教会のお土産店
ヴィースの巡礼教会のお土産店

年間を通して、世界中から100万人がヴィースの巡礼教会を訪れていると言われています。

世界遺産


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