アッピア・アンティカ州立公園内にある、ローマ水道橋公園(Parco degli Acquedotti)に来ました。
面積は240ヘクタールもあります。
公園の英語表記は「the Seven Aqueducts Area」なのですが、これは古代ローマに造られた11本のローマ水道のうち6本が公園内を通過しており、さらに16世紀に造られたフェリクス水道を加えた7本の水道が公園内を通過していることに由来しています。
バスを降りて公園の中を歩いて行くのですが、ぜんぜん水道橋らしきものも見えず、一体どこまで何を見に行くのか?くらいの気持ちになります。
びっくりするくらい暑いですが、湿度がないので乾燥しています。
砂埃も凄いし…
ユリア水道橋(Acquedotto dell’Acqua Iulia)です。
アグリッパにより紀元前33年に造られ、紀元前11年~前4年に掛けて初代ローマ皇帝アウグストゥスにより改築・拡張された水道施設です。
水源はラテン街道の16km地点から3.2㎞離れた、現在のグロッタフェッラータ付近です。
ローマ水道の技術書の著者でありローマ水道長官でもあったフロンティヌスによれば水量は1日あたり48,240m3です。
水道の全長は22.8kmで、ローマより11.2㎞の場所からの10.4kmは全て地上の導水渠となり、0.78kmは構造物内に、9.6kmは水道橋上の導水渠を経由していました。
上段よりユリア水道、テプラ水道、マルキア水道と導水渠を3段に積み上げた形の水道橋を通り、ローマ市内のティブルティーナ門付近でそれぞれの最終配水池に向けて分岐していました。
マルキア水道(Acquedotto Acqua Marcia)です。
法務官クィントゥス・マルキウス・レクスによりBC144年からBC140年に造られた水道施設です。
古代ローマ末期に機能停止しましたが、1586年にマルキア水道の施設の多くを流用する形で再建されたフェリクス水道として、現在まで機能しています。
水源はローマから91km離れたアニオ川上流域で、現在のアルソリとアーゴスタ付近です。
水量は1日あたり187,600m3で、古代ローマ水道の中で2番目の水量で、冷たく清浄な水とローマ市民に評価されていました。
水道の全長91.3kmのうち80.3kmは地下の導水渠で、地上の導水渠11kmはユリア水道、テプラ水道、マルキア水道の3段積みの部分になります。
ティブルティーナ門で分岐されたのち、ヴィミナーレの丘まで引き入れられ、そこからチェリオの丘、アヴェンティーノの丘、パラティーノの丘、カンピドリオの丘に向けて配水されていました。
歩き始めてしばらくして見えてきた水道橋の長さにびっくりです。
日本では考えられないくらい広大です。
クラウディア水道(Archi dell’Acquedotto Claudio)です。
皇帝カリグラが38年に建設を始め、約14年間の工事の後に皇帝クラウディウスが52年に完成させた水道施設で、アニオ川上流域のカエルレウス(Caeruleus)とクルティウス(Curtius)の泉を水源とし、約69km離れた帝都ローマに水を供給していました。
新アニオ水道と同時に工事が進められ、水道橋の橋脚など一部の施設を新アニオ水道と共用しており、日本語ではクラウディウス水道と訳されることもあるそうです。
クラウディア水道の水量は1日あたり184,280m3で、皇帝ネロが建設したローマ市内での分岐水道(ネロ水道, Arcus Neroniani)の完成後は、市内の全14区に水を供給していました。
水質はマルキア水道に次いで良質だと評価され、ラティーナ街道から11.2㎞にあった濾過池を流れ出た後は、新アニオ水道の水管を上段に載せた水道橋を通ってマッジョーレ門を通過して市街地に入り、皇帝宮殿があるパラティーノの丘まで続いていました。
導水管の平均勾配は300分の1(300m進むと1m下る)で、フロンティヌスによれば、全長68.98kmのうち53.62kmは地下の導水渠を、15.06kmは地上の導水渠で構成されていました。
ローマより11.2㎞の場所からは全て地上の導水渠となり、0.9kmは構造物内に、9.6kmは水道橋上の導水渠を経由していました。
このローマ水道橋公園付近で高さが約30mあることから、ローマ市内のチェーリオの丘からパラティーノの丘に接続する部分の高さは37m以上あったと推察されています。
クラウディア水道が長期間にわたって利用できたのは、ペペリーノと呼ばれるこしょう凝灰岩と火山灰を混合した丈夫なローマン・コンクリートを用いて水管部が作られていたからだそうです。
こんな時代からコンクリートがあったことに驚きです!
アッピオ・クラウディオ通りを挟んで、クラウディア水道橋の西側は途切れ途切れになっていました。
東側が高架がキレイに残っている部分になります。
オールドローマファームハウス(Casa cd di “Roma Vecchia”)、古代ローマの農家の建物です。
この建物は、クラウディオ・アニオ・ノヴス水道橋とマルシオ・テプラ・ユリア水道橋、そして現代のフェリーチェ水道橋の間に建設され、現在のアッピオ・クラウディオ通りに隣接しています。
フリントと大理石の破片を交互に使用したペペリーノ石積みで建てられており、両側に 2 つの支柱がある塔で構成されています。
元々は長方形の建物でしたが、何度も改築が繰り返され、中庭の周囲に近代的な構造物が追加された形になったそうです。
24時間無料で入れる公園で、端から端まで歩くと8㎞くらいあるそうです。
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